ニッポンよ、"モノ"を作れ!
●ファインモールドの提言●

ー転進する●

 「モノづくり立国ニッポン」、本来は高度成長期からあった言葉かも知れませんが、ここ長らく続いた不況感が膠着し始めた頃から、その混沌から脱却すべく頻繁に見聞きするようになったと感じます。

 不況期の当初は
『景気が本格的に回復しないのは、日本の主要産業が自動車・電機などの製造業からインターネットソフト関連企業や情報関連企業へと充分にシフトされていないから』
というような論調がありました。
『製造業中心のままでは日本の景気は回復しない。IT産業のさらなる拡大が必要。』
そういう考え方でした。
 しかし、実際にIT産業が繁栄した後に私たちが目の当たりにしたのは、「虚業」「拝金主義」との揶揄(もちろん、多くの企業がそうではないことは承知しています)と、対照的に「モノづくり」で堅実さをアピールする弊社地元の愛知県経済という対極的な情報の交錯でした。この2つの現象は日本人のメンタルな部分に触れることでもあり、考えさせられた方も多かったのではないか?と思います。

 私たちは「モノづくり」こそが日本産業、いや日本文化の根幹であると断言したいのです。多くの製造業で中国などの海外製造が当たり前になっていますが、実際ほとんどの海外製造現場では日本人の主導が恒常的になければ機能しないようです。これこそ『日本のモノづくり』がキチンと伝わっていると言う成果だと思います。
「モノづくり」というのは日本のお家芸なのです。これを忘れてしまうと、日本経済のアイデンティティに関わる事態になりかねない。と信じています。

 そこでこのアイデンティティの再興を!と叫ばれているのが「モノづくり立国ニッポン」というスローガンなのですが、ひょっとするとこれはすでに「過去の幻想」になっているんじゃないか?と私たちは危惧するのです。『失われた10年』とも言われたこの期間、この国で『モノづくり』は伝承されてきたのか?と。
これはそんなオオゴトではなく、僕ら模型好きの人間達の間でも、です。

以下はある模型屋さんで聞いた話。
 機械設計をお仕事にする常連さんが『最近の若いヤツは図面のウラが読めなくてね』と口にされました。聞けば、一昔前なら一枚の図面で寸法のない複合部品も予測できるはずなのに「個別に展開してください」「別に詳細図をください」と言い出す。と。
なんでそんなめんどくさいことを・・・、この図面で見えない部分もだいたい解るじゃないか・・・。と思っていたのですが、ある時はたと気づいてこの部下達に聞いてみた。
『お前ら、プラモデルって作ったことあるか?』
返ってきた答えは予想通り、
『いえ、ミ●四●とかでしたら・・・』(他社様登録商標製品という関係上伏せ字はご容赦ください)

 経験のある方もいらっしゃると思いますが、25年以上も遡るとプラモデルってごく一部以外は日本製、海外製も含めて組立説明書は今ほど親切ではなく、接着位置とかを「図面と現物と見比べながら」考え考え組み立てていましたよね?(これ、当時の組み立て式ラジコンモデルでも当てはまります)
 この経験をしていると、今でもあまり説明書を見なくても(ある程度は)「完成立体が頭の中で把握できて」組み立てることは出来る(イヤ、奨励しませんよ。ちゃんと見ながら組み立ててくださいね)。
そして、当時のプラモデルというのは、子供達ならほとんど経験する通過儀礼だったりします。
つまりは現在の中堅的なポジションの技術者さんはこの「完成立体が頭の中で把握できて」というのを模型作りで経験・会得しているわけです。このお話はそれが出来なくなってる若い技術者サンへの嘆き。と思うのです

って考えると、プラモデルって案外捨てたモンじゃないわけです。
いや、これからの『モノづくり』職人や技術者を育てる上では重要なくらいかも知れない・・・。

だから、完成品が多くなった模型の世界でも『作ること』は大事にしていかなければ!と強く思うのです。
さあ、ニッポン人よ、モノを作れ!
ついでにプラモデルも作れ!

もう一度●ファインモールドの主張●にもどる

このページを閉じる